ウィズ・コロナ時代の健康管理と医療機関受診の心構え

ウィズ・コロナ時代の健康管理と医療機関受診の心構え
~相模原市医師会から市民の皆さまへの大切なメッセージ~

相模原市医師会

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わが国において新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)は流行を繰り返し、大都市のみならず、地方にも拡大しております。ワクチン接種が開始されたことは、光明ですが、多くの国民が接種できるまで、まだしばらく時間がかかりそうです。さらに感染力が強く、重症化しやすい変異ウイルスの出現は新たな脅威となっております。他の多くのウイルス感染症と同じく、特効薬がない現時点では、COVID-19の根絶は困難であり、これからの時代はこのウイルスと共存し、いかに大流行を抑えつつ、経済活動を回していく道を歩まざるをえません(ウィズ・コロナの時代)。これまでの常識にとらわれず、新しい常識(ニューノーマル)に基づいた生活様式を習慣にしなければいけません。
市民の皆さんもCOVID-19に心配しながら、不安な毎日を過ごしているのではないでしょうか?どのような症状があったら医療機関を受診したらよいのか?この時期医療機関を受診しないほうがよいのでは?放っておいたら重症化するのでは?など多くの不安、疑問があると思います。今回ウィズ・コロナの時代における健康管理と医療機関の受診の心構えについて解説します。

(1)急な発熱! まずは「あわてないで状態を観察」
COVID-19の症状には発熱、咳の他に、咽頭痛、倦怠感、味覚・嗅覚異常、下痢、吐き気などさまざまな症状があります(図)。特徴的な症状はないために、かぜやインフルエンザなど他の病気、夏季なら熱中症との区別が困難です。

図1:COVID-19の症状と経過

急に熱が出た場合でも、あわてないで、冷静に状態を観察してください。重要なことは、発熱以外に重症化の危険なサインがないかに注意することです。具体的には呼吸困難、意識障害などです。乳幼児の場合は顔色不良、呼吸困難(乳児ではミルクの飲みの著しい低下)などの症状です。危険なサインがあれば医療機関に連絡、場合によっては、救急車の要請が必要になります。
基礎疾患のない若年者では、危険なサインがなければ、発熱があっても、自宅安静や対症療法(冷却や消炎鎮痛薬)で少し様子をみてください。COVID-19で重症化する場合は、多くは発症1週間から10日後であり、発熱後すぐに重症化することはまれです。
しかし、発熱はさまざまな病気が原因になります。また高齢者では発熱がなく、食欲低下や元気がないなどで発症する場合もあります。体調が悪い状態で、迷ったらまずはかかりつけの医療機関にお問合せください。
抗がん剤や免疫抑制剤を使用している方では発熱があった場合はまず、通院中の医療機関に連絡してください。現在治療中の病気が悪くなっているのか、免疫能力低下のために、感染症を併発しているのかにより、対応、治療が変わります。
相模原市の夜間休日急病診療所(メディカルセンター急病診療所)は一時的な応急処置はできますが、できる検査は限られております。特にインフルエンザ流行時期には患者さんが殺到します。待ち時間が長くなる場合もあり、熱が出たからといってすぐに受診せず、危険なサインがなければ、まずは自宅安静、対症療法で様子をみることをお勧めします。

(2)自宅安静(ステイホーム)の重要性
発熱のみならず、体調が悪ければ、無理に外出しないで、自宅で安静にし、可能な限り同居者と別室で隔離してください。これは、もしCOVID-19を含めた感染症であった場合、周囲への感染拡大予防のためはもちろんですが、一般的に感染症の治療では安静、水分補給、栄養が大切だからです。なるべく安静にすることで、治癒が早くなります。忙しいから休めない、代わりがいないから休めないという考えは、これからの時代、個人も職場も変えていかなければいけません。

(3)発熱で受診する際は事前に連絡を
発熱で受診する時には、必ず医療機関にお知らせください。受診日には解熱していても、いつから熱があったかなどの情報が重要です。現在、多くの医療機関では新型コロナウイルス感染予防のため、発熱の患者さんについては、他の患者さんとの接触を避け、診察室を別にしたり、診察時間を調整したりと工夫しております。診察時間を調整している医療機関には受診前に電話などでご連絡ください。また発熱の患者さんの診察後は、診察室の消毒、換気など環境整備に時間を要します。医療機関側も準備が必要なために、ぜひご協力をお願いします。
かかりつけ医がない方は下記の「新型コロナウイルス感染症相談センター」に連絡、相談してください。

(4)COVID-19の検査について
COVID-19の診断には現在、PCR検査、抗原検査、抗体検査が可能になっております。それぞれの検査は目的、特徴が異なります(表)。

 表COVID-19の検査

現在の感染の有無を知るためのもっとも精度が高い検査はPCR検査ですが、それでも偽陰性(感染しているけど検査は陰性)の場合があり、陰性だからといって必ずしも安心とは限りません。COVID-19患者と濃厚接触がある方、症状があり医師がCOVID-19を疑った方などについては、保険診療でのPCR検査の適応になります。特に症状はないが、不安だから検査を受けたい、職場で検査を受けるように指示されたなどの理由では保険診療での検査はできません。
発熱等症状がある方は、かかりつけ医、あるいは下記の「新型コロナウイルス感染症相談センター」に連絡、相談してください。

まずは電話でかかりつけ医

(5)現在、通院中の方は治療を続けて
慢性疾患等にて定期的に通院されている方の中に、COVID-19が怖くて、医療機関の受診を控えて、治療を中断してしまう方がいらっしゃいます。現在治療中の病気が治療中断により悪くなることは、かえって新型コロナウイルスに感染しやすくなります。たとえば糖尿病で治療を中断し、血糖が上がってしまうと免疫機能は低下します。現在受けている治療は必ず継続してください。医療機関の受診に不安がある方は、電話再診やオンライン診療も可能な場合がありますので、かかりつけ医に問い合わせてください。
抗がん剤や免疫抑制剤を使用されている方は、現在の病気の状態を把握している主治医の指示に従ってください。
治療中の病気の管理を疎かにしていると、病気の悪化や合併症を起こしやすくなります。たとえば高血圧の治療を中止した場合、脳卒中、心筋梗塞など命に関わる病気を併発する危険性が高くなります。今後さらに感染拡大し、医療体制がひっ迫した中で、そのような病状になっても、受け入れ医療機関が見つからない場合が生じてくる可能性があります。現在治療中の病気はしっかり治療を継続し、安定した状態を維持しておくことが重要です。

(6)自己管理で感染予防を
感染予防には、体調を整えて、免疫を良好な状態に保つことが重要です。一般的には十分な睡眠、栄養、休養、適度な運動、ストレスの回避などです。
また高齢者では肺炎球菌ワクチンの接種を、小児では種々の定期接種ワクチンを計画どおりに接種し、ワクチンで予防できるCOVID-19以外の感染症対策をしておくことが大切です。特に冬になるとインフルエンザウイルスの流行も重なってきます。この時期に発熱があると、COVID-19との区別も難しくなります。インフルエンザワクチンについては、今まで接種していない方も接種したほうがいいでしょう。
毎年受けている検診についても予定どおり受けて、現在の体調を把握し、病気の早期発見に努めてください。
喫煙は新型コロナウイルス感染の危険性が高まります。感染予防と喫煙に関連する病気の予防、両方の目的のために、この機会に禁煙しましょう。

(7)科学的根拠のない情報に惑わされないで
COVID-19について日々多くの研究がされておりますが、不明なことがまだ多いために、さまざまなメディアやSNSで多くの情報が拡散されております。しかし科学的根拠のない情報には惑わされてはいけません。今後、検査法の進歩、ワクチンや治療薬の開発を含め、新しい知見が進めば、常識とされていたことも、変わる可能性もあります。現時点では冷静に今までどおりの感染対策を徹底してください。

(8)感染者に対する偏見や差別をなくそう
COVID-19患者に対するいわれない差別、中傷、あるいは特定の職種に従事されている方々、流行地域にお住まいの方々に対する根拠のない偏見はまったく的はずれで、多くの人々を傷つけるだけです。いままでハンセン病やAIDSなどの患者さんに対する誤った認識による差別により、多くの人々が苦しめられてきました。われわれはこの苦い経験から多くのことを学んできたはずです。いくら気をつけても、誰にでも感染する可能性はあります。このような状況だからこそ、お互い思いやりの気持ちを大切にしたいものです。ウィズ・コロナ時代は個々の人間力が試される時代です。

以上